正座や階段の昇り降りで感じる膝関節の痛み
-解説- 【整体:事例】
今回は正座からの立ち上がりや、階段の昇り降りの際などに感じる
膝関節での痛みに関して、メカニズムと考えられる要因を事例を元に
解説します。
膝関節の痛みや不安でお困りの方々は、今回記載する内容は
当院での施術方針の元になる内容ですので、ご参考ください。
【膝関節の痛み:事例】 50代 女性 疼痛レベル 7 ⇒ 0
先日から来院いただき、施術とリハビリ、セルフケアの指導を継続取り組み
している事例です。
症状、主訴
・ ウォーキング中の膝の痛み ※お皿(膝蓋骨)の下と周辺
・ 水が溜まっている感覚 ※整形外科にて水腫を確認
・ 立ち上がりや階段の昇り降りでの膝の痛み ※不安感
・ 数か月前から違和感や弱い痛みを持続的に感じていた
・ 数日前に痛みが悪化 ※原因不明、腫脹増悪
考えられる要因、症状発生のメカニズム
・ 膝関節周囲、特に大腿四頭筋(太もも前)の筋肉の過緊張
・ 下腿後面(ふくらはぎ)から膝の裏にかけて筋肉の過緊張
・ 患側の股関節の拘縮、可動域制限等の機能低下 ※坐骨神経痛有り
・ 足関節(足首)の不安定性とアキレス腱の固さ
・ 骨盤の後傾位(健側<患側)、円背の不良姿勢
これらの要因が相互に関連し合い、結果的に膝関節に疼痛と腫脹を
発生させる事になったと考えます。
1.股関節の拘縮と機能低下 ※坐骨神経痛
今回の事例では、長年腰痛や肩こりを抱え、近年では坐骨神経痛(患側)に
悩まされていたようで、今回も膝の痛痛が悪化する前は、坐骨神経痛と腰痛が
悪化していたとの事。
この状態では股関節の機能が低下し、荷重感覚も左右でのバランスを崩し
荷重が一方向に偏る結果、正常な膝関節の働きを難しくさせます。
2.大腿四頭筋の過緊張
股関節と膝関節をまたぐ、大腿直筋や外側を構成する
外側広筋、腸脛靭帯、大腿筋膜脹筋が過緊張をお越し
膝関節、特に膝蓋骨(お皿)を上方、外方に引っ張る為に
関節面が圧迫され、こすれ合う結果炎症を起こすと考えます。
関節軟骨が痛むのではなく、関節がこすれ合い、摩擦を起こす事で
関節が潤滑液を求めるために関節液が溜まると思われます。
結論として、湿布や電気療法、注射等で水を抜いても
根本の摩擦や関節機能の低下を改善しない限り、このメカニズムは
何も改善しないと思われます。
3.膝関節の機能、後面(裏側)の過緊張
膝関節の裏側から下腿後面(ふくらはぎ)の筋群が固く
緊張する事で、膝関節が伸びなくなります。
この膝関節が伸び切らない状況が継続すると、大腿四頭筋の
緊張が抜けず、膝蓋骨の牽引ストレスが増悪します。
また大腿四頭筋の中でも、関節の安定性や膝蓋骨の正常な
滑走に働く筋肉(内側広筋)が機能しなくなり、余計に外側に
集中した筋活動となり、関節機能は悪化します・・・
4.骨盤の後傾位、不良姿勢、坐骨神経痛・・・
これらの骨盤から上の姿勢は股関節の位置関係や機能に
大きく影響し、先に述べた坐骨神経痛の症状からも裏付けされるように
臀部(おしり)の筋群が緊張、機能低下をお越し股関節の安定性を
悪くします。 この状況では膝関節にまでまたぐ大腿直筋の緊張が
高まり、膝関節の機能異常、疼痛発生へと関連していきます。
これらの状況は変形性膝関節症の予備徴候であり、根本の
機能改善を行わずに電気療法や湿布、注射などの治療だけでは
解決せず、進行性の症状は悪化をたどる一方です・・・
今回の事例では、施術とリハビリで疼痛は改善し歩行や立ち上がり時の
痛みを消す事が出来ました。
メカニズムを考慮したうえで、問題点に対するアプローチを施せば
症状の軽減には効果が有ります。
今回の内容に関する質問やお問い合わせなどは、気軽にお問い合わせください。