タグ別アーカイブ: 肩の痛み

姿勢不良の特徴と考え方

 

姿勢不良の特徴と考え方


 

今回は「姿勢不良の特徴と考え方」と題して

姿勢不良に 陥る要因 と 考え方 を解説します。




 これまでも姿勢そのものが様々な症状や

 障害へと結びつく根本的な原因である

 とした考えを紹介してきました。

  ( 前回の記事 「姿勢不良が、その症状・・・」 ) 




 からだの各関節は、近くの関節同士が相互に影響を与え合う

 という特徴があります。


例えば、肩関節が痛い とした場合

肩甲骨 や 鎖骨 、 肘・・・ などの様に

症状を抱える部位の、近くにある(隣接する)

関節の 位置 や 動き からも 影響を与え合っています。



肩関節だけにアプローチしても、改善しなかったり

症状が再発するのは、こういった事も原因です。




 

 関節間の連鎖


 

 

 「猫背」 や 「円背」 の特徴 

 ・ 背中が丸くなる  

 ・ 頭が前方に突出する 

 ・ 肩が前に入る



 これら 姿勢不良 を 作り出す要素 には

 ・ 筋 、 筋膜 の短縮

 ・ 筋 の 機能低下

  という2つのポイントが複雑に関連しあって

  出来ています。  ( 参考記事 「なぜ腹筋・背筋が必要・・・」 )


 複雑に関連し合う というのが 各関節が相互に影響を与え合うと言う事




ある部位で起こる関節の位置や動きの変化は

他の部分にも影響を与え、

各関節が相互に反応し合った代償運動が

関節の異常運動をつくります。


これら相互に反応し合った形が、トータルされた結果となり

姿勢全体を作り出し、痛みや不快症状を生み出す要因として

考えられます。



座位の不良姿勢を解説する歯車の理論


 

後弯姿勢 歯車

上の図は 姿勢不良の典型例 を表します。

・ 背中が丸くなる

・ 頭が前方に突出する

・ 肩が前に入る

「猫背」 や 「円背」 の 特徴です。



これら姿勢の特徴は上記の説明で表せるように

骨盤の傾き がその上に位置する 脊柱(背骨)の弯曲 に

影響を与え、結果として姿勢不良に陥り易いのです。




歯車の理論 とは 腰椎、胸椎、頚椎 の姿勢連鎖を

歯車が3つタテに連なり、連鎖して動く様子を

当てはめて説明した理論です。




上の写真の様子を説明すると以下の通りです。


1.骨盤が後傾する (後ろに傾く)

   ↓

2.腰椎(腰)の前弯が減少 ( 時計回りの回転により 腰が後ろに丸くなる )

   ↓

3.胸椎(胸)の後弯が増加 ( 反時計回りの回転  胸椎、胸郭が前方に丸くなる)

   ↓

4.頚椎(首)の前弯が増加 ( 時計回りの回転  頭が前に押し出され、首が反る)


 
 骨盤の傾き(後傾)が 腰椎、胸椎、頚椎と連鎖し合い

 トータルの結果 姿勢不良となります。



次回はこの上の写真の様な姿勢不良の対照例を挙げて

考え方 (治療コンセプト)を解説していきます。



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肩のケガを予防する セルフケア ~ 胸筋群と姿勢不良 ~

 

肩のケガを予防する セルフケア ~ 胸筋群と姿勢不良~


今回は 胸筋群 と 姿勢不良 の関係について解説しながら

具体的なストレッチなど改善策をご紹介します。



前回、前々回と引き続き 肩関節 に関する記事ですので

これらも合わせて参考にしていただくと、より理解が深まると思います。



 1.肩関節 後方・下方のストレッチ 

 2.肩関節 胸筋群のストレッチ



前回にも取り上げた 3つ の考慮点がありましたね。


 ・ 姿勢の悪化


 ・ 肩関節 の 可動域不足 (筋の柔軟性不足)


 ・ 肩関節 の 動的安定性 の不足 (筋力不足) 



今回のテーマはこの1つ目である 姿勢の悪化 について

胸筋群 が どの様な関わりをしているかを解説します。



ここでの ”姿勢” は歩行や運動中の姿勢ではなく

起立姿勢 や 座位姿勢 など 安静時の基本姿勢 をさします。



胸筋群と姿勢不良の関係

 


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上の図では 胸筋群 の短縮が 肩の前方突出 の要因になる様子を示します。

これに連鎖して 肩・肩甲骨が 上方に挙がり 僧帽筋上部 や 肩甲挙筋

の短縮につながります。        ※ 下の図を参考


胸筋、僧帽筋 解剖





  先ほどの姿勢の図で示される通り

  ・ 背中が丸くなる

  ・ 頭が前方に出てしまう

  ・ 肩が前方に出てしまう


  猫背・円背 と言われる 姿勢の特徴です。。。



この姿勢不良に陥ると

 ・ 肩コリ

 ・ 首の痛み

 ・ 背中の痛み

   など 不定愁訴 の 症状に陥りやすくなります。



肩や首が凝る のは姿勢不良そのものが筋緊張を生み出す原因でもあるのです。





また姿勢不良がもたらす、肩関節での機能低下があります。


 ・ 肩甲骨 の 動的安定性の低下


 ・ 肩関節(肩甲上腕関節) の 動的安定性の低下


 ・ 関節の位置変化により 筋の長さが変化

   ⇒ それによる インナーマッスル等の 筋機能の低下



肩関節インピンジメント症候群 、 腱板損傷 、関節唇損傷 、脱臼・亜脱臼など

障害や外傷のリスクファクターとなります。



これら障害や外傷に関してはまた別の機会でまとめたいと思います。




 

座って行える胸筋群のストレッチ

胸筋ストレッチ 座位、胸郭


~ How to ~


1.両手を後ろで組みます。


2.手を斜め下方向に引っ張る様に、胸をはりましょう。



※ 肩関節や胸、背中が硬くて、手を組むのが困難な方は

  タオルを両手で持つなどして、行うと良いでしょう。



姿勢の改善を目的としたエクササイズ

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 How to ~


1.手を頭の後ろに組み、胸を張り肩甲骨を寄せ合いましょう。

  ※ この時 出来るだけ 背骨 を伸ばし、反らす様に行います。


2.両肘を顔の前で寄せ合い、頭から背中を丸める様に肩甲骨の間を拡げます。

  ※ この時は 出来るだけ 背骨 を丸め、からだを屈曲させるように行います。


3.一連の動作を出来るだけ、大きな動きで繰り返しましょう。

  ※ 伸びる部分(ストレッチされる部分) と 筋が収縮する部分 を

    意識して行いましょう。




まとめ



胸筋群の短縮は肩こりや首の痛みなど一般的な不定愁訴を

招きやすい、猫背姿勢を作る要因となります。



またこの不良姿勢は、肩関節の運動時の機能を低下させる

要因となり、結果としてインピンジメント症候群など

肩関節の故障や怪我に繋がります。



胸筋群の短縮や硬化を防ぐことは、不定愁訴や障害の予防に

効果的ですので、是非この理論を理解していただき

セルフケアに取り組んでみてください。

 

肩の関節可動域を拡げるストレッチ ‐ 胸筋群 ‐

肩の関節可動域を拡げるストレッチ


今回は前回に引き続き 肩のセルフケア について解説いたします。


重要ポイントである 胸筋群(むね)のストレッチをご紹介します。

   ※ 前回の記事 (肩関節 後方・下方のストレッチ)



日頃からスポーツをされている方(特に腕や肩を使うスポーツ)は

肩の痛みや違和感を抱えた経験が、誰しもある事でしょう。



競技スポーツ選手の場合は、日々のハードな練習やトレーニングにおける

筋疲労の蓄積やフォームの変化による、肩の痛みや違和感の発生が

よくあります。



ゴルフやテニス、バレーボール、野球、バドミントン、水泳 etc...

一般的に趣味やサークル活動で取り組まれるスポーツでは

筋力不足、無理なフォームやオーバーユース(使いすぎ)

が主な要因としてあげられます。


        ※共に突発的な怪我は、省いています。




肩の故障や障害を改善・予防していく際に

共通して注意していただきたい事が以下の3点です。


・姿勢の悪化

・肩関節の可動域不足(筋の柔軟性不足)

・肩関節の動的安定性の不足(筋力不足)


 ※ここではフォームやアンバランス、運動連鎖等は省いておきます。





今回は胸筋群の柔軟性を向上するストレッチを

 2つご紹介します。

胸筋ストレッチ(注意点)

 

胸筋群のストレッチ

~ How to ~

1.横向けに寝た状態から、上側の手を後方へ伸ばします。

2.胸を開く様に、胸郭から動かし伸ばしましょう。

 ※骨盤が開かない様に、お腹は床へ向けておきましょう。



30~45秒程 ゆっくり、無理のない範囲(心地よく伸びる範囲)

で伸ばしましょう。  2~3Set 繰り返すと柔軟性が効果的に向上します。


胸筋ストレッチ注意点②
胸筋群のストレッチ (注意点)

上記の写真は肩を痛めやすいフォームです。

 

・肩甲骨の内転(背中への引き寄せ)

・胸郭の回旋(上半身の開き)


 これらが不十分の場合、 肩関節の水平伸展が過剰になり

 肩を痛めやすいフォームになります。

 ※肩関節で角度が過剰に出てしまうので注意しましょう。


胸筋壁ストレッチ

※ 壁を使う事で、立った状態でもストレッチが可能です。

壁ストレッチ  ~ How to ~

 

1.壁に片側の肘~手を付けて、胸を伸ばす様に体を開きます。

2.片方の手で壁を支えてサポートすると、より体が開き伸ばしやすくなります。



ポイント

 ・ からだを壁から離す様にひらきます。

 ・ 伸ばす側の胸は出来るだけ壁に近づけます。

 ・ 伸ばす側の肩甲骨を出来るだけ背骨に引き寄せます。


効果は横になって行うストレッチと同様に胸筋群を伸ばす事が出来ます。




胸筋群のストレッチのオススメ

 

胸筋群が硬くなり、短縮する事で

 

肩関節において様々な影響をもたらし

 

それは故障や障害に繋がる悪循環を招きます。

 

 

また胸筋群は人間が生活をしていく中でも

 

硬くなり短縮しやすい部分でもあります。

 

 

 

日頃から胸筋群、肩関節の後方・下方のセルフケアを

 

行う事はアスリートやスポーツ活動を楽しまれる方

 

以前に肩関節が痛かった経験がある方などにとっては

 

” must ”な事項です。

 

 

是非このシリーズを参考にし、障害予防やパフォーマンスアップに

 

取り組んでください。
次回は胸筋群と姿勢の関係についてご紹介します。

 

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肩の関節可動域を拡げるストレッチ - 肩関節 後方・下方 -

肩の関節可動域を拡げるストレッチ


 

 

今回はスポーツをされる方やアスリートに向けた情報を

ご紹介いたします。


・水泳で肩を回すのが痛い

・ゴルフのバックスイングやフォローで肩が痛い

・テニスのサーブやストロークで肩が痛い   等


肩を多用するスポーツや競技をされる方は、痛みレベルはどうあれ、

大半の方が肩の痛みを感じた事があるでしょう。



今現在痛みや問題を抱えていなくても

今回のストレッチは肩の関節可動域を改善し

尚且つ肩関節のアライメント(骨・関節の位置)を

適正な位置へと戻すことに効果的な方法です。


障害予防や改善だけではなく、スポーツや競技での

パフォーマンス発揮を高める事に役立ってくれます。


伸びている筋肉や部位と、どんな効果が得られるのかを

より理解していただき取り組んでいただければ

大きな効果が感じていただけると思います。


肩関節のストレッチ

 

肩関節後下方ストレッチ

 

 

効果

・ 三角筋(後部)、大円筋、小円筋、上腕三頭筋、広背筋、関節包(後方、下方)

これらの筋肉を伸ばす事が出来ます。

 

~ How to  ~

1. 四つばいの状態から片方の手を前方に伸ばし、お尻をやや上方に

突き出しながら、わきの下を伸ばしていきましょう。

 

2. 黄色の〇の部分が伸びる様に、やや体を捻りましょう。

 

30~45秒程 ゆっくり、無理のない範囲で 伸ばしましょう。

 

上腕三頭筋ストレッチ

 

効果

・ 三角筋(後部)、大円筋、小円筋、上腕三頭筋、広背筋、関節包(後方、下方)

これらの筋肉を伸ばす事が出来ます。

~ How to ~

 

1.肩の後方・下方を伸ばした状態から、肘を曲げて
  上腕三頭筋(二の腕の後ろ) を伸ばしましょう。

 

30秒~45秒 ゆっくりと 無理のない範囲で伸ばしましょう。

 


肩関節後下方の解剖

 

上の写真の黄色〇の部分を効果的に伸ばす事が目的です。
この部分が硬くなり、短縮する事で肩関節の屈曲・外転

(腕を頭上に挙げる動作)の制限因子となります。


⇒ 右の写真  肩を上方に挙げる際に下方に引っ張る制限となります。

  ※赤矢印 の方向に 硬くなった筋群が引っ張ります。




また外旋筋群が短縮する事で、内旋方向への可動域制限を

生み出します。 ※黄色で囲った部分


 内旋制限、屈曲・外転制限はオーバーヘッドでの

ストローク動作がスムーズに行えない要素となり

代償動作を行う事で結果的に肩の故障に繋がります。

肩関節の痛み

 

また後方が短縮する事によって、肩関節の根元が前方へと

押し出されるような力が働きます。

 

結果肩関節の前方偏移が強まり、筋機能や安定性の低下を

招く事になります。

 

 

⇒ 肩関節の後方・下方はスポーツをされる方はもちろん、

スポーツ習慣の無い方でも硬くなる部分です。

四十肩、五十肩も同様に、後方・下方の硬さが存在し

機能回復の妨げとなります。

 


 

今回ご紹介した肩関節のストレッチを行う事で
効果的に関節の後方、下方を伸ばす事が出来ます。

 

 

肩関節の障害予防と、スポーツ動作のパフォーマンスアップには

欠かせない効果的なストレッチですので、是非参考にしてみてください。

 

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肩の痛みを改善するセルフケア(肩こり)

今回は「肩の痛みを改善するセルフケア」と題しまして


肩こり、首の痛みを改善する為に
 
効果的なセルフケアの方法をご紹介します。
 

一般的に肩こりの症状を感じやすい
 
「僧帽筋」(そうぼうきん)のストレッチを
 
解説いたします。
 
また僧帽筋の上部線維が緊張し固くなると
 
頭の位置や肩甲骨の位置など
 
姿勢を悪くする原因となります。(下の図参考)
 
上の図のように後頭部付近や首まで
 
筋肉が覆う為に、首の痛みとも大きく関係します。
 

デスクワークや姿勢の悪さから起こる筋緊張が
 
筋線維内の血流循環や酸素、栄養の欠乏を招き
 
慢性的な痛みやだるさに繋がります。
 
簡単なストレッチを日頃から取り組む事で
 
改善していただけます。
 
僧帽筋のストレッチ

写真ひだり

~ How to ~

1.右手で頭の左側を押え、右方向に倒します。
 
2.左手は背中に手の甲をあてておきます。
 
3.左肩と頭の距離を引き離す様に伸ばします。
 
4.一回目は軽く伸ばした状態で30~40秒キープします。
 
5.元の位置に戻し、同じ事を2~3Set繰り返します。
 
6.一回目よりも二回目、三回目と伸びる距離が広がる
  様に行いましょう。
 
 30~40秒 ✕ 2~3Set
 ・ゆっくり伸ばします。(痛み気持ち良い範囲)
 ・呼吸を止めない。
 ・伸びている部分を意識します。
 
効果
・僧帽筋上部のストレッチ
 
・肩甲挙筋のストレッチ
 
・首周囲のストレッチ
 
写真みぎ
~ How to ~
 
1.両手で頭を抱えて前方へ倒します。
 
2.両手の重みで首の後ろの筋を伸ばします。
 
3.一回目は軽く伸ばした状態で30~40秒キープします。
 
4.元の位置に戻し、同じ事を2~3Set繰り返します。
 
5.一回目よりも二回目、三回目と伸びる距離が広がる
  様に行いましょう。
 
 30~40秒 ✕ 2~3Set
 ・ゆっくり伸ばします。(痛み気持ち良い範囲)
 ・呼吸を止めない。
 ・伸びている部分を意識します。
 
効果
・僧帽筋上部のストレッチ
・首周囲のストレッチ
継続的に取り組む事で筋の柔軟性が向上します。
 
胸や背中のストレッチと合わせて取り組む事で
 
姿勢の改善も効果的です。

 

競泳選手の肩の痛み③ (肩関節のストレッチ)

「競泳選手の肩の痛み」
 

今回はアスリート向けの内容でご紹介します。


肩の痛みについて解説していますので
 
スポーツをされない方々であっても肩の痛みの
 
メカニズムや理屈を知ってもらう事は
 
ご自身の健康管理やコンディショニングに
 
大変役立つので、是非ご一読ください。
 
 
 
アスリートの中でも私が専門としている
競泳について解説いたします。
 
競泳選手の肩の痛みについては、これまでにも
 
数回ご紹介してきました。※合わせてご覧ください
 
 
今回は具体的なセルフケア・ストレッチ
2つご紹介します。

競泳選手は肩関節の前方など上腕骨頭辺り
 
痛みを訴えるケースに多く遭遇します。
 
日頃の練習やトレーニングによる疲労で
 
関節周囲の筋肉や関節包が固くなり(短縮)
 
上腕骨頭が関節の適した位置からズレて
 
しまいます。
 
多くのケースは上腕骨頭がやや前方に
ずれた状態になります。
 
今回は肩関節の後方を緩める方法
ご紹介します。

~ How to ~
 
1.写真の様に横向けの状態になります。
 
2.腕を前に出し、肘は90°曲げておきます。
 
3.前に出した腕~肩に上半身を被せる様に
 体重をかけます。(写真みぎ)
 
4.肩関節の後方が伸びていれば効果的に
 行えています。
 
※出来るだけ肩や肩甲骨を背中側に引き付けて
 行うと効果的に伸ばせます。
 
効果
 ・肩関節の後方、下方、三角筋などが伸ばせます

~ How to ~
 
1.先ほどのストレッチと同様に腕を前に出して
 横向けの状態になります。
 
2.もう片方の手を使い、ストレッチする側の手を
 床方向に押えていきます。
 ※からだが開かないように押えておきます。
 
3.肩関節が捻じれる様なストレッチ感があれば
 効果的に行えています。
 
※肩が浮き上がったり、前方に押し出されない様に
 注意しましょう。
 
効果
 ・肩関節の外旋筋を伸ばし、内旋可動域を増加します。
これらのストレッチは肩関節の後方を
緩める事に効果的です。
 
後方が固くなり、短縮している場合
肩関節、上腕骨頭が前方に偏移しやすくなります。
 
この状態では関節の安定性が低下し
プル動作での推進力が低下します。
 
また肩関節の可動域不足や偏移している状態での
運動の繰り返しでは、肩関節周囲の
筋群や、腱、関節包など周辺組織の損傷、
痛みの原因となります。
 
元々の肩関節の緩さや姿勢、トレーニングの
内容なども関係しますが、
日頃のコンディショニングに
肩関節の位置を考えて取り組んでみてください。

競泳選手の肩の痛み《2》

競泳選手に起こる肩の痛みに関して、前回は痛みの出やすい場所や
ストロークの局面や前触れとなる症状などを記事にしました。

今回は症状発生に繋がるリスクファクターや、原因として考えうる事、
現場や選手が自身で取り組める改善策、予防策をご紹介します。

疼痛発生のリスクファクター
・姿勢不良(背中が丸く、頭頸部が肩よりも前方にある様な状態)

・肩甲骨、肩関節のマルアライメント

(筋の固さにより骨の位置が故障しやすい位置にある状態)

※上記二つは比較的多くの選手に存在する。

・肩甲骨可動性不足

・胸郭、胸椎の可動性不足

・肩関節の過剰な弛緩性(関節が緩く、柔らか過ぎるのも問題です。)

・肩甲骨~肩関節、体幹での安定性(筋力)不足 ※インナーマッスルやコアなど

・フォーム (無理な肩の動かし方をしている選手も多くいます)

※練習量が増える事やパドル、スポンジプルなどを使用する事も

要因としては考えられますが、競技力向上には必要な事であり

大切なことは、強化に必要なストレスに耐えうる体作りやコンディショニング、

予防やセルフケアなど自分の体を守る知識と方法を身に付ける事と思います。

考えられる原因

・肩関節周囲筋の短縮(筋肉が固くなった状態)

特に競泳では上半身への負担は大きく、推進力を生み出すのも上半身に

依存が高くなります。その為練習量や強度が上がれば上肢が疲労することは必然。

筋、腱が固くなる事が様々な原因と関連してきます。

・関節アライメントの不適合

筋肉・腱、その他の関節周囲の軟部組織が固くなると、肩甲骨や上腕骨、

などの肩関節を構成する骨のそれぞれの位置関係が変化します。

特に多い例を分かり易く言うと、「肩が前に押し出されている状態」

上腕骨の頭部分が前方方向に押し出されます。

これは肩だけでなく、姿勢そのものが関連します。

・胸郭の可動性低下

広背筋や僧帽筋、胸腰筋膜、腹筋群(腹直筋・腹斜筋)

殿部筋(お尻)の短縮は胸郭の可動性を制限します。

また胸椎・胸郭レベルでの可動性の制限や筋タイトネスは

結果的に肩甲帯の安定性を妨げ、肩関節への負担を増悪させます。

⇒ 特に肩関節の後方、下方、前方では大胸筋・小胸筋、上方で僧帽筋の上部、

肩甲挙筋、頚部の伸筋などが固くなり、姿勢・肩甲帯のアライメント不良が

起こります。(背中が丸くなり、頭が前に出て、肩甲骨を背負う状態)

その結果、安定性に必要なインナーマッスルの機能低下や

アライメント不良から引きおこされる関節の不安定性、関節内の摩擦、

関節周囲の軟部組織での伸張ストレスなどが生じると考えています。

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細分化して原因を述べると、項目が増えますが

肩が痛むと訴える選手の多くは、まずその周囲の固さが著明です。

ポイントとなる部分のセルフケアやストレッチ、安定性に必要な筋の

強化などが必要でしょう。

何気なくストレッチ・セルフマッサージをするのでなく、

少しでも痛くなるメカニズム(理屈)を知ると、一段とコンディショニング

の質が上がると思います。

また何かと肩甲骨の動きを・・・ という声を選手から聞きます。

もちろん肩甲骨の可動性は大切です。

しかし勘違いで多いのが肩甲骨が問題なのでなく、

胸郭や脊柱、骨盤、股関節など中枢部の可動性や安定性に問題を

抱える選手が多いと感じます。

トップレベルの選手は「胸郭を動くようにしてください」

「体幹を安定させられる様に補強を教えてください」など

トレーナーに求める事も具体的です。

コンディショニングのノウハウを選手自身が高いレベルで持つことが

競技レベルの向上につながると思います。

競泳選手の肩の痛み

先日まで国体の競泳競技に帯同しておりました。

その期間中でも訴えとして多かったのが肩の痛みでした。

競泳の場合は繰り返しの動作で患部の組織が炎症や微細損傷を起こし

痛みを訴えるケースが多く、致命的な故障に至るまでには

必ず前触れ(サイン)が存在します。

今回はそのサインや疼痛発生メカニズムについて、現場レベルでの観点で説明を

させていただきます。

特に痛みを訴える部分

・肩関節の前(三角筋前~中部、上腕二頭筋腱、大胸筋停止部)

・肩関節の後方及び下方 ※脇の下や後

(三角筋後部、大円筋・小円筋、上腕三頭筋腱、広背筋)

・肩~頸の筋肉(僧帽筋上部、肩甲挙筋、頚部の筋群)

・肩甲骨と背骨の間(菱形筋、僧帽筋)

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ストローク中の痛みに関して
1.プル前半(入水からキャッチ)

2.リカバリー(フィニッシュから腕の引き上げ)

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※発生頻度が多いのがこの2つの局面です。

疼痛発生のメカニズム (フェーズ別)
【プル前半期】
肩関節屈曲位での内旋+肩甲骨上方回旋
※手が頭より上で、ハイエルボーの状態がこの局面
⇒ これは肩関節、烏口肩峰アーチでのスペースが狭くなり、
関節内での摩擦を起こしやすくなります。

【リカバリー期】
肩関節伸展位での内旋+肩甲骨下制、内転
※手が後方で背面方向に引き上げながら、腕は前方へと方向を変える局面
⇒ これは肩甲骨の内転や下制が不十分であると、肩関節伸展可動域が
過剰に要求され、その結果肩関節前方の二頭筋腱などが伸張ストレスを
受けやすくなります。

現場で考えられるサイン(前触れ症状)
・肩関節の柔軟性低下
「腕を上げた時に関節が詰まる感覚」
「コリコリと音が鳴る」
「肩(三角筋周囲)の張りが強い」
・肩甲骨の柔軟性低下
「背中の張りが強い」
「僧帽筋(肩の上)、頸の張りが強い」
・胸郭の可動性低下
「体が捻り難い」「呼吸やストロークで胸が開きにくい」
「片側だけ体が開いてしまう(捻れ方向のアンバランス)」
等々・・・

一番分かり易い自己評価は
ストリームラインが楽に組めるかどうか・・・
毎日自分自身でチェックする事で良い時と悪い時の
自分の体の違いに気づける様になります。

※リスクファクター、原因、改善策や予防策は
また今後の記事で載せます。

水泳肩 -中高生-

先日は水泳肩の症状で対応いたしました。

全国大会レベルの中高生で元々肩や腰に痛みを感じていた選手です。
今回痛みが酷く、泳げないとの事で連絡を頂き対応させていただきました。

姿勢、各部位の柔軟性、筋力バランスなど問題点を解説しながら具体的な施術と
セルフケアのアドバイスをいたしました。

競泳選手は専門種目により、姿勢やカラダ、筋力等の特徴がそれぞれ違います。
今回肩を痛めている選手も、その専門種目の持つ特徴が出ており
そこに、疲労の蓄積や、セルフケアの不足が、積もって
”コップの水があふれた” 状態になったと思います。

身体的にも優れた要素が目立つ選手ですので
先ずはこの故障を乗り越えて、全国大会の出場権をとり
夏にベストを更新してもらえればと思います。

先にセルフケアや疲労の蓄積というフレーズが出ましたが
誰もがこの様に陥る訳ではありません。
故障する時は原因となる要素が必ず揃っています。
「フォーム」や「使い方」という考えももちろんですが
トレーナーはその以前の所が専門分野です。
肩を故障しない使い方をする為には、その使い方や
フォームを体現化する為に必要な土台が不可欠です。
その土台は姿勢、アライメント、です。

姿勢やアライメントを整えた上で、それを安定させるボディバランスやポジション、
体幹筋力や股関節、肩甲骨、など各部位の柔軟性と筋力が上に積みあがると
考えております。

特にこの中高生の時期は男女共に体が変化します。
反面変わり易く改善しやすいのもこの時期です。
競泳だけに限らず、テニスや陸上、野球、ダンス、バレエも同様です。
引き続きトレーナーの専門分野からの手助けをしていきたいと思います。

アスレティックトレーナー 藤野絢也