競泳選手の肩の痛み

先日まで国体の競泳競技に帯同しておりました。

その期間中でも訴えとして多かったのが肩の痛みでした。

競泳の場合は繰り返しの動作で患部の組織が炎症や微細損傷を起こし

痛みを訴えるケースが多く、致命的な故障に至るまでには

必ず前触れ(サイン)が存在します。

今回はそのサインや疼痛発生メカニズムについて、現場レベルでの観点で説明を

させていただきます。

特に痛みを訴える部分

・肩関節の前(三角筋前~中部、上腕二頭筋腱、大胸筋停止部)

・肩関節の後方及び下方 ※脇の下や後

(三角筋後部、大円筋・小円筋、上腕三頭筋腱、広背筋)

・肩~頸の筋肉(僧帽筋上部、肩甲挙筋、頚部の筋群)

・肩甲骨と背骨の間(菱形筋、僧帽筋)

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ストローク中の痛みに関して
1.プル前半(入水からキャッチ)

2.リカバリー(フィニッシュから腕の引き上げ)

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※発生頻度が多いのがこの2つの局面です。

疼痛発生のメカニズム (フェーズ別)
【プル前半期】
肩関節屈曲位での内旋+肩甲骨上方回旋
※手が頭より上で、ハイエルボーの状態がこの局面
⇒ これは肩関節、烏口肩峰アーチでのスペースが狭くなり、
関節内での摩擦を起こしやすくなります。

【リカバリー期】
肩関節伸展位での内旋+肩甲骨下制、内転
※手が後方で背面方向に引き上げながら、腕は前方へと方向を変える局面
⇒ これは肩甲骨の内転や下制が不十分であると、肩関節伸展可動域が
過剰に要求され、その結果肩関節前方の二頭筋腱などが伸張ストレスを
受けやすくなります。

現場で考えられるサイン(前触れ症状)
・肩関節の柔軟性低下
「腕を上げた時に関節が詰まる感覚」
「コリコリと音が鳴る」
「肩(三角筋周囲)の張りが強い」
・肩甲骨の柔軟性低下
「背中の張りが強い」
「僧帽筋(肩の上)、頸の張りが強い」
・胸郭の可動性低下
「体が捻り難い」「呼吸やストロークで胸が開きにくい」
「片側だけ体が開いてしまう(捻れ方向のアンバランス)」
等々・・・

一番分かり易い自己評価は
ストリームラインが楽に組めるかどうか・・・
毎日自分自身でチェックする事で良い時と悪い時の
自分の体の違いに気づける様になります。

※リスクファクター、原因、改善策や予防策は
また今後の記事で載せます。