平泳ぎ膝の痛みについて
今回は日頃トレーナー現場で遭遇する症状をもとにご紹介します。
競泳チームに帯同しておりますと、様々な部位の痛みや故障に
遭遇します。
競泳の特徴としては、陸上で行うスポーツの様な、捻挫や打撲、
肉離れといった突発的な外傷は比較的少なく、
多くの障害は、日々の練習やトレーニングによる筋疲労とストレスの
蓄積による炎症、微細損傷であり、慢性的な症状が多い事が特徴です。
関節への負荷のかかり方としては
ストローク動作やキック動作の様に何度も同じ動きを繰り返す事による
関節の摩擦が考えられます。
また競泳の特徴として、「水を掴む」 または 「捉える」 事での
水圧による関節への負荷が故障の要因になります。
今回取り上げる 「平泳ぎ膝」 は平泳ぎのキック動作による
膝の痛みであります。 その発生メカニズムには
「水を捉える」事で起こるストレスが関係しています。
膝関節の内側で痛みを訴えるケースが多いのですが
お皿(膝蓋骨)の内側や上部での痛みを有する場合もあります。
平泳ぎ膝になる要因
・ 大腿四頭筋の柔軟性不足
・ 股関節伸展方向の可動域不足
・ 大腿部外側~股関節周囲の筋緊張
・ 体幹部の筋力不足
・ 胸椎や胸郭、上肢の可動性不足
※ これらの要因がいくつも関連して、結果的に膝関節への
負担が掛かっていると考えております。
大半の症例は大腿部~股関節の筋緊張を取り、関節可動域の改善と
関節周囲の筋・腱、結合組織など軟部組織の柔軟性と滑走性を
改善させると痛みは取れて症状はなくなります。
膝蓋腱炎や鵞足炎(がそくえん)などと診断されるケースもあります。
問題は膝だけが悪いのではなく、上記の問題点が関連して
ストリームラインのバランスが崩れたり、腰が落ちているなど
ボディポジションに影響して、結果的に膝への負担が増大して
症状にいたっていると考えましょう。
自身でのセルフケアは先ずは股関節周囲や四頭筋の柔軟性を
獲得する事が大切です。
しかし、膝を曲げる事で痛みがある場合は、膝関節周囲の組織が
固く引っ張っている状態ですので、関節周囲の組織の柔軟性を
改善させる必要があると思われます。
また平泳ぎ膝に関しては、別の記事で詳しくセルフケアまで
まとめたいと思います。