正座や階段の昇り降りで感じる膝の痛み
– リハビリ – 【解説:事例】
今回は前回の記事で解説した膝関節の痛みについて
事例を元に、その対処法やリハビリなどの施術方針を解説します。
前回の解説では事例の紹介と、膝関節に痛みが生じるメカニズムを
解説いたしました。 要するに股関節や膝関節は周囲の筋群が
緊張する事で、関節の位置関係(アライメント)が崩れ、関節の機能である
安定性、筋活動が低下します。 その結果関節の異常運動がおこり
関節面や筋、靭帯、などの周辺組織にて炎症を起こします。
結果として歩行や階段での痛みが生じる事になります。
それでは、各問題点に関して、どの様なケア、リハビリを取り組むと
良いのか、その効果などいくつか解説いたします。
解決すべき問題点
・ 大腿四頭筋(大腿直筋、外側広筋 等)の筋緊張
・ 膝関節の裏面の筋緊張、および組織の硬化
・ 股関節(殿筋)周囲の筋緊張
・ 大腿四頭筋(内側広筋)の筋機能改善(筋力強化)
※ 膝関節、股関節周囲の筋緊張を緩和させ、正常な関節の
位置関係を取り戻す事で、筋機能の正常化を獲得しやすくなります。
※骨盤の後傾や、脊柱~胸郭の円背も同様にストレッチや
ストレッチポールなどを用いた運動療法で改善に取り組みます。
具体的なリハビリメニューの紹介
1) 膝関節周囲のセルフケア(セルフマッサージ)
テニスボール等を使って、膝のお皿(膝蓋骨)の上部を軽くマッサージします。
この膝蓋骨の上部には大腿四頭筋の腱が存在します。
その腱や他の周辺組織が固く緊張する事で、膝蓋骨を上方に引っ張る
力が高まり、大腿骨と膝蓋骨の関節面に対する圧迫が強まります。
従った腱や組織をマッサージする事で緊張が緩み、痛みの原因を改善させます。
2) 大腿四頭筋、股関節外側のストレッチ(柔軟性獲得)
このストレッチでは太ももの前(大腿四頭筋)と股関節の前面が
効果的にストレッチされます。 黄色く塗られた部分が伸びれば
正解です。 後方に伸ばしている脚の膝を曲げて、手で保持する事で
より効果的に膝関節付近まで伸ばす事が出来ます。
このストレッチでは殿筋(おしり)の筋群が効果的にストレッチされます。
殿筋群は外側の大腿四頭筋や腸脛靭帯との関係性が高く
この部分が緊張すると大腿部の外側の緊張が高まります。
従って、殿筋群の緊張を緩める事で、膝関節への緊張を減らすことが出来ます。
3) 膝関節の後面のセルフケア(セルフマッサージ)
テニスボール等を使って、膝関節の裏面を軽くマッサージしましょう。
※強くやり過ぎない様に注意してください。
膝関節の裏面には、ハムストリングス(大腿二頭筋)や下腿後面筋の腓腹筋など
膝関節を曲げる作用をもつ筋肉が集まります。
この部分の緊張が高まることで、膝関節を伸ばす機能に制限をかけます。
膝伸展機能(伸ばす動作)に制限があると、四頭筋の中でも重要な働きを持つ
内側広筋が働かず、外側筋群との力関係にアンバランスを生じます。
膝関節の安定や正常な膝蓋骨の滑走を機能維持するためには、
この内側広筋の働きがとても重要です。
4) 内側広筋の筋力トレーニング
バスタオル等をたわら状に丸めて、膝関節の裏に置きます。
このまま踵を遠くに押し出す様に、膝を伸ばしきってタオルを押しつぶします。
その際に内側広筋の働きが高まり、トレーニングが出来ます。
※股関節に力が入っていたり、他の部位に緊張があると、上手く内側広筋を鍛える事
が出来ません。 他の部分は出来るだけ力みを無くして、膝に集中しましょう。
5~6秒力を入れて、脱力する。この一連動作を10~20回程繰り返し、2~3セット
行う事で、効果的に鍛える事が出来ます。
今回は1)~4)のエクササイズでオーソドックスなリハビリメニューを
紹介しました。 膝関節の痛みで悩まれている方は是非お試しください。